アーパボー(ARPABLE)
アープらしいエンジニア、それを称賛する言葉・・・アーパボー(商標登録6601061)
AI

RAGの検索精度を高める手法と最適化技術

RAGの基本と応用

RAGの概要
RAG(Retrieval-AugmentedGeneration)は、大規模言語モデル(LLM)の能力を拡張し、外部データソースから情報を取得することで、より正確で信頼性の高い回答を生成する技術です。従来のLLMは、学習データに含まれる情報のみを基に回答を生成していましたが、RAGは外部データソースから必要な情報を取得することで、より幅広い知識に基づいた回答を生成することが可能になります。

情報検索の重要性
RAGにおいて、情報検索は重要な役割を果たします。LLMが適切な情報を取得するためには、効率的かつ正確な情報検索が不可欠です。外部データソースから関連性の高い情報を効率的に取得することで、LLMはより正確な回答を生成することができます。

回答生成の最適化
RAGでは、情報検索の結果に基づいて、LLMが回答を生成します。この回答生成プロセスを最適化することで、より自然で人間らしい回答を生成することができます。

例えば、回答の文法チェックや、回答の要約などを行うことで、回答の質を高めることができます。

検索精度向上のためのテクニック

チャンク分割の最適化
外部データソースは、通常、膨大な量のテキストデータで構成されています。

RAGでは、このテキストデータを適切なサイズに分割し、検索効率を高める必要があります。
チャンク分割の最適化は、検索速度と精度に大きな影響を与えます。
適切なチャンクサイズを選択することで、検索時間を短縮し、関連性の高い情報を効率的に取得することができます。

ハイブリッド検索の活用
RAGでは、複数の検索方法を組み合わせることで、検索精度を向上させることができます。

例えば、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせることで、より正確な情報を取得することができます。
キーワード検索は、特定の単語やフレーズを検索するのに適していますが、意味的な関連性を考慮することができません。
一方、ベクトル検索は、単語やフレーズのベクトル表現を用いて、意味的に関連する情報を検索することができます。
ハイブリッド検索は、これらの利点を組み合わせることで、より正確な情報を取得することができます。

非構造データから構造化データへの適切な変換
外部データソースには、テキストデータだけでなく、画像、音声、動画などの非構造データも含まれる場合があります。

RAGでは、これらの非構造データを構造化データに変換することで、格段に検索効率を高めることができます。
画像データからテキスト情報を抽出したり、音声データからテキスト情報を書き起こしたりすることはそれほど難しい技術ではないでしょう。
ただ、日本語のドキュメントにはグラフや図表データを多用する傾向がありますので、このような文章から意味のあるテキストを自動的に抽出する技術はまだ確立しておらず、今後の進化を期待したいところです。

情報構造化の重要性

メタデータの付加
外部データソースにメタデータを付加することで、検索精度を向上させることができます。

メタデータは、データに関する追加情報を提供し、検索をより効率的に行うことができます。
例えば、文書のタイトル、作成日時、著者などの情報をメタデータとして付加することで、検索を絞り込むことができます。

ナレッジグラフの利用
ナレッジグラフは、エンティティとその関係性をグラフ構造で表現したものです。

RAGでは、ナレッジグラフを利用することで、より深いレベルでの情報検索が可能になります。例えば、特定のエンティティに関する情報を検索したり、エンティティ間の関係性を分析したりすることができます。

ファインチューニング
RAGでは、LLMを特定のタスクに適応させるために、ファインチューニングを行うことができます。

ファインチューニングは、LLMの学習データを調整することで、特定のタスクに対する性能を向上させることができます。
例えば、特定のドメインのデータでLLMをファインチューニングすることで、そのドメインに関する質問に答える能力を高めることができます。
但しファインチューニングは開発規模(工数、期間、金額)がかなり大きくなりますので慎重な検討が必要でしょう。

検索結果の評価と改善

評価方法の選択
RAGの検索結果を評価するために、適切な評価方法を選択する必要があります。評価方法は、タスクの種類や評価の目的によって異なります。
例えば、検索結果の関連性、正確性、網羅性などを評価することができます。

評価基準の設定
評価方法を選択したら、評価基準を設定する必要があります。
評価基準は、評価の目的を明確にするために必要です。
例えば、検索結果の関連性を評価する場合、関連性の高い結果が上位に表示されるかどうかを評価基準として設定することができます。

結果の分析
評価結果を分析することで、RAGの性能を改善することができます。
例えば、検索結果の関連性が低い場合は、検索クエリやデータソースを調整する必要があります。
また、検索結果の正確性が低い場合は、LLMのファインチューニングを行う必要があるかもしれません。

まとめ

RAGは、LLMの能力を拡張し、外部データソースから情報を取得することで、より正確で信頼性の高い回答を生成する技術です。
RAGの検索精度を向上させるためには、チャンク分割の最適化、ハイブリッド検索の活用、非構造データから構造化データへの適切な変換などのテクニックを適用する必要があります。
また、メタデータの付加、ナレッジグラフの利用なども積極的に検討する必要があるかもしれません。 ただし、ファインチューニングの安易な適用は副作用を誘発することがありますので慎重に検討化する必要があるでしょう。
更に、検索結果の評価と改善は、RAGの性能を向上させるために不可欠な作業となります。

次のステップへ
RAGは、まだ発展途上の技術であり、今後さらに進化していくことが期待されます。

直近では非構造化データから構造化データへ自動的に変換する技術などが求められてます。
将来的には、より効率的な情報検索技術や、より自然で人間らしい回答を生成する技術などが開発される可能性があります。
RAGは、様々な分野で活用される可能性を秘めており、今後も注目すべき技術です。
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以上

筆者プロフィール
ケニー狩野(中小企業診断士、PMP、ITコーディネータ)
キヤノン(株)でアーキテクト、プロマネとして多数のプロジェクトをリード。
現在、株式会社ベーネテック代表、株式会社アープ取締役、一般社団法人Society 5.0振興協会評議員ブロックチェーン導入評価委員長。
これまでの知見を活かしブロックチェーンや人工知能技術の推進に従事。趣味はダイビングと囲碁。
2018年「リアル・イノベーション・マインド」を出版。