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2025年版:主要AI言語モデル徹底比較ガイド(4月更新版)

2025年版:主要AI言語モデル徹底比較ガイド
(4月更新版)

この記事で何を学べるのか?

AI言語モデル(LLM)は、その進化の速さと多様性において、目覚ましい発展を遂げています。本記事では、2025年4月時点での主要なLLM、すなわち GPT、Claude、Gemini、Mistral AI、LLaMA を対象に、それぞれの機能、強み、価格モデル、そしてライセンスの違いを比較し、実務に役立つ情報を網羅的にまとめています。

特に、商用利用やファインチューニングを検討する開発者・企業担当者に向けて、各モデルの特徴と選び方の指針を整理することで、読者の皆様が自身のニーズに最適なLLMを選択し、効果的に活用するための一助となることを目的としています。

まずは結論から:最適なAI言語モデルの選び方

現在、3大LLMと言われるGPT、Claude、Geminiはそれぞれ特徴的な強みを持っています。以下では、具体的な用途に応じた最適なモデル選択の指針を紹介します。

  • GPT-4o は、テキスト・画像・音声・動画を統合処理できる汎用型で、多用途に対応。あらゆる形式のコンテンツを扱う必要がある場合の第一選択肢となります。
  • Claude 3.7 Sonnet は、高度なコーディングや長文処理タスクに強みを発揮。拡張思考モードにより複雑な問題解決能力が高く、企業の技術文書や大規模開発プロジェクトに適しています。
  • Gemini 2.0 Flash は、マルチモーダル性と高速応答性を活かし、即時性が求められる場面に適します。特にGoogle製品との連携や動画解析を必要とするユースケースで威力を発揮します。

それでは、これらの結論の根拠となる詳細な比較情報を見ていきましょう。

主要AI言語モデルの機能比較表【2025年4月更新版】

主要なAI言語モデルの技術的特性と機能を体系的に比較した本表は、各モデルの強みと制限を明確にすることを目的としています。
コンテキスト長やマルチモーダル対応など、AIモデル選定の重要な判断基準となる項目を横断的に分析し、企業や開発者が自社の要件に最適なモデルを選択するための指標を提供します。特に、APIの利用可能性やデプロイメント方法といった実務的な観点も含め、包括的な比較を行っています。

最新モデル GPT-4o Claude 3.7 Sonnet Gemini 2.0 Flash LLAMA 4
Maverick
コンテキスト長 128K トークン 200K トークン 2M トークン 10M トークン
マルチモーダル機能 テキスト、画像、音声、動画 テキスト、画像、音声(一部) テキスト、画像、音声、動画+PC画面認識 テキスト、画像、音声、動画
検索能力 ✓ (Browse with Bing, SearchGPT) ✓ (米国有料プランのみ) ✓ (Google検索連携) ✗ (基本モデルには非対応)
コード生成 ✓ (非常に強力) ✓ (業界最高水準) ✓ (非常に強力) ✓ (非常に強力)
言語サポート 多言語対応 多言語対応 多言語対応 多言語対応(12言語最適化)
推論能力 非常に高い 非常に高い(拡張思考モード) 非常に高い 非常に高い
API利用可能性 ✓ (オープンソース)
オープンソース
特徴的な強み オムニモーダル処理、高速応答 長文理解・生成、安全性、推論 Googleサービス連携、検索機能 超長文コンテキスト、オープンソース、カスタマイズ性
デプロイメント クラウドAPI、GPTs クラウドAPI クラウドAPI、Vertex AI 自己ホスト、クラウドAPI、データプラットフォーム
ファインチューニング ✓ (企業向け) ✓ (限定的) ✓ (企業向け) ✓ (完全なカスタマイズ可)
価格モデル 従量課金+サブスクリプション 従量課金+サブスクリプション 従量課金+サブスクリプション 無料(計算コストのみ)、プラットフォーム固有

付則)コーディング性能と図表処理能力の比較

特に実務で重要視されるコーディング性能とマルチメディア処理能力に焦点を当て、3大モデルの専門的能力を詳細に比較しました。この分析は、プログラミングプロジェクトや複雑なデータ可視化が必要な業務において、最適なモデル選択を支援するものです。各モデルが持つ独自の特殊機能も合わせて評価し、用途別の適合性をより明確にしています。

機能 Claude 3.7 Sonnet GPT-4o Gemini 2.0 Flash
コーディング性能 業界最高水準 高レベル 不明(Googleスタックと親和性高)
画像処理能力 テキスト+画像 テキスト+画像+音声 テキスト+画像+音声+動画+PC画面認識
特殊機能 拡張思考モード、Claude Code オムニモーダル処理 Deep Research機能

AI言語モデルの料金とサービス比較【2025年4月最新】

AI言語モデルの導入において、技術的な能力と同様に重要なのが経済的な側面です。この比較表では、各企業が提供する無料・有料サービスの内容、料金体系、および利用制限を詳細に分析しています。特に、個人ユーザーから大規模企業まで、様々な規模の利用者が予算に応じた選択ができるよう、コストパフォーマンスの観点からモデルを評価しました。API料金やサブスクリプションプランの違いも含め、総合的な費用対効果を判断するための基準を提供します。

企業 主要モデル 無料サービス 有料サービス
OpenAI GPT-4o、GPT-4.5、O1-preview、GPT-3.5 Turbo、DALL·E 3、Whisper 3 ChatGPT無料版(GPT-3.5 Turbo)<br>※制限付き/要ログイン ChatGPT Plus(GPT-4o, GPT-4.5, GPT-4o mini など:25ドル/月)<br>API(従量課金制)<br>ChatGPT Team / Enterprise プランあり
Anthropic Claude 3.7 Sonnet、Claude 3.5、Claude 3 Opus、Claude 3 Haiku Claude.ai(Claude 3.5まで利用可能、制限あり) Claude Pro(Claude 3.7 Sonnet含む:20ドル/月)<br>Claude API(従量課金制)<br>Claude Team / Enterprise プランあり
Google Gemini 2.0 Flash、Gemini 1.5 Pro、Gemini 1.5 Ultra、Gemini 1.0 Pro Gemini App(Gemini 1.0 Pro まで利用可)<br>※Google アカウント必要 Gemini Advanced(Gemini 2.0 Flash 含む:30ドル/月)<br>Google One AI Premium(一部プランに組込)<br>Vertex AI API(従量課金制)
Meta LLAMA 4(Maverick)、
LLaMA 3(8B / 70B / 405B)、Code LLaMA 3
オープンソースモデル(研究・商用利用可)<br>自己ホスティングが前提 Together AI, Snowflake経由でのAPI利用可能<br>API提供(プラットフォーム固有の料金体系)<br>計算リソースはユーザー負担

✅ 注釈(2025年4月版)

  • 本表は2025年4月時点の情報に基づいています。各社モデル・サービスは継続的にアップデートされているため、内容は今後変更される可能性があります。
  • 無料プランには、利用回数や機能制限(メッセージ数、API制限など)がある場合があります。
  • **オープンソースモデル(Meta)**を自己ホスティングする場合、GPUやインフラ環境が必要で、運用コストが発生します
  • 価格は個人向け標準プランの例であり、企業や教育機関向けには別プランが用意されていることがあります。
  • Meta LLAMA 4は、2025年4月に発表された最新モデルで、10Mトークンの超長文コンテキスト対応が特徴です。Together AI、Snowflakeなどのプラットフォームを通じてAPI利用が可能になりました。

    オープンソースLLMのライセンス比較
    【2025年4月更新版】

    これまでは、主要LLM企業による商用サービスの提供形態や価格モデルを比較してきました。しかし近年、オープンソースLLMの進化と普及により、独自ホスティングや柔軟なカスタマイズを求めるニーズも高まっています

    こうした背景を踏まえると、商用LLMと対比する形で、OSSモデルのライセンスや利用条件を整理しておくことは、多様化する導入目的に応じた適切な選定において、重要な視点となります。

    本比較表は、オープンソースAIモデルを導入検討する際に特に重要となるライセンス条件を多角的に分析しています。商用利用の可否、特許条項の有無、再頒布・改変の制限など、法的リスク評価に必要な要素を網羅的に調査し、企業の知的財産戦略を踏まえた選定が可能となるよう整理しました。特に、商用利用時の制約条件を明確にすることで、ビジネス展開におけるコンプライアンスリスクの低減を支援します。

    モデル名 提供元 ライセンス 商用利用 特許条項 再頒布 / 改変の制限 利用条件・備考
    LLAMA 4 (Maverick) Meta Meta License (非オープン) ✅ 可(申請必要) 不明(明示なし) △ 再配布に制限あり 商用利用は申請が必要。Together AI、Snowflakeなどのプラットフォーム経由での利用が推奨。10Mトークンの超長文コンテキスト対応が特徴。
    LLaMA 3 Meta Meta License (非オープン) ✅ 可(申請必要) 不明(明示なし) △ 再配布に制限あり 利用にはMetaへの申請が必要。再配布に制限あり。商用は一部許可されるが、用途によって制約あり。
    Mistral 7B / Mixtral Mistral AI Apache 2.0 ✅ 完全自由 あり(明示的特許許諾) ◎ 制限なし 商用・研究・改変・再配布すべて自由。非常に寛容なライセンス。
    Gemma 2 Google DeepMind Gemma Terms of Use(準オープン) ✅ 可(一部条件付き) 不明(記載なし) △ 利用・再配布に一部制限あり Apache 2.0に近いが、独自の利用条件付きライセンス。再配布や用途に注意が必要。
    Falcon TII (UAE) Apache 2.0(※一部モデル制限) ✅ 条件付き あり(明示的特許許諾) ◯ モデルによる制限あり Falcon 7BはApache 2.0で自由利用可。40Bなどは非商用・研究目的に限定。
    Command R / R+ Cohere For AI Apache 2.0 ✅ 完全自由 あり(明示的特許許諾) ◎ 制限なし 商用・研究利用に向いており、RAGタスクに最適化。
    Pythia EleutherAI MIT ✅ 完全自由 なし(明示的な特許許諾なし) ◎ 制限なし(※著作権表示義務あり) 軽量で実験・研究用途に人気。商用・再配布も自由だが、著作権表示とライセンス文の同梱が必要
    OpenChat / OpenHermes OpenAccess / Nous Apache 2.0 ✅ 完全自由(元モデルに依存) あり(明示的特許許諾) ◯ 元モデルの制約に依存 多くがLLaMAベースでのファインチューニング。元モデルのライセンス継承に注意が必要。

    📝 補足

    • 「Apache 2.0」「MIT」などのライセンスは、商用・改変・再配布すべて自由な非常に緩やかなライセンスです。 但し**「Apache 2.0」には特許条項**、すなわち特許の使用許諾に関する条項が含まれています。
    • 「MetaのLLAMA 4/LLaMA 3」や「Gemma」などはカスタムライセンスで、利用条件がモデルごとに異なります。
    • LLAMA 4は2025年4月にリリースされ、10Mトークンという超長文コンテキスト対応と高度なマルチモーダル機能が特徴です。
    • 再配布の可否や、ファインチューニング後の公開などに制限がある場合があるので要注意です。
    • MetaのLLAMAモデルは、直接のAPI提供はなく、Together AIやSnowflakeなどの提携プラットフォーム経由での利用が推奨されています。

    📝 補足

    • 「Apache 2.0」「MIT」などのライセンスは、商用・改変・再配布すべて自由な非常に緩やかなライセンスです。 但し「Apache 2.0」には特許条項、すなわち特許の使用許諾に関する条項が含まれています。
    • 「MetaのLLaMA」や「Gemma」などはカスタムライセンスで、利用条件がモデルごとに異なります。
    • 再配布の可否や、ファインチューニング後の公開などに制限がある場合があるので要注意です。

    OSSライセンスの商用利用における注意点

    オープンソースモデルを商用利用する際には、それぞれのライセンスが持つ特性と制約を理解することが重要です。以下の表で各ライセンスの特徴を詳細に比較します。

    この詳細比較表は、オープンソースライセンスの法的義務とビジネスリスクを精査したものです。特に自社製品への組み込みや派生製品開発を検討する企業にとって重要な、コード公開義務の範囲や特許条項の有無を明確化しています。MIT・Apache 2.0のような寛容なライセンスからGPLのような制約の強いライセンスまで、各ライセンスの商用利用における実務的な扱いやすさを評価し、企業法務・知財部門の意思決定を支援する指標となるよう設計しました。

    ライセンス 改変権 再頒布権 複製権 リンクした自社コードの公開義務 特許条項 企業での扱いやすさ 備考
    MIT ◎ 可 ◎ 可 ◎ 可 ◎ なし なし(明示的記載なし) ◎ 非常に高い 著作権表示の同梱のみでOK。非常にシンプル。
    Apache 2.0 ◎ 可 ◎ 可 ◎ 可 ◎ なし あり(特許使用の明示的許諾あり) ◎ 高い 特許保護が明記されており、再頒布時はLICENSEとNOTICEを添付。
    BSD(2条項) ◎ 可 ◎ 可 ◎ 可 ◎ なし なし(明示的記載なし) ◎ 非常に高い MITとほぼ同等。著作権表示が必要。
    GPLv3 ◎ 可 ◯ 可(※GPLで再頒布義務) ◎ 可 ✖ 必須(静的リンク含む) なし(特許明示なし) △ 低い 強コピーレフト。商用再頒布には注意。
    LGPLv3 ◎ 可 ◯ 可(※LGPLで再頒布) ◎ 可 △ 静的リンク時に公開義務の可能性あり なし(特許明示なし) ◯ 中程度 動的リンク前提なら比較的扱いやすい。
    MPL 2.0 ◎ 可 ◎ 可 ◎ 可 ◎ なし(改変部分のみ公開義務) あり(改変部分に限定した特許許諾) ◯ 高い 改変箇所だけ公開すればよい、柔軟な中間型ライセンス。
    🔍 評価の根拠(GPL / LGPLの再頒布権)

    再頒布は禁止されていない(むしろ促されている)が、以下の条件があるため自由度が低く条件付き → ◯ または △ とした。

    • GPL:改変物・リンクしたコード含めて GPLライセンスで再頒布が必須
    • LGPL:対象はライブラリ単位だが、同様に LGPLでの再頒布が必要
    ✅ 記号の定義(再確認)
    記号 意味
    制限が非常に少ない(自由)
    条件付きで可能(ライセンス継承義務など)
    実務上の注意が必要(制約強め、企業向けには慎重判断)
    原則不可または強制義務あり(商用利用に不向き)

     

    まとめ:自社に最適なAI言語モデルの選定方法

    本記事では、2025年4月時点における主要なAI言語モデル(LLM)の機能、性能、提供サービス、ライセンスに関する比較を通じて、それぞれのモデルがどのような用途に適しているかを明らかにしました。

    各モデルの特徴と強み

    • GPT-4o:テキスト、画像、音声、動画を統合的に処理できる汎用性の高いモデルで、多用途に対応可能です。速度と精度のバランスが取れています。
    • Claude 3.7 Sonnet:高度なコーディングや長文処理タスクに強みを持ち、拡張思考モードにより複雑な問題解決能力が高いとされています。200Kトークンの長文コンテキスト対応も特徴です。
    • Gemini 2.0 Flash:マルチモーダル性と高速応答性を活かし、即時性が求められる場面やGoogle製品との連携に適しています。2Mトークンの長文コンテキスト対応により大規模ドキュメント処理も可能です。
    • LLAMA 4 (Maverick):Meta最新のオープンソースモデルで、10Mトークンという圧倒的な超長文コンテキスト対応が最大の特徴です。マルチモーダル機能も強化され、Together AIやSnowflakeなどのプラットフォーム経由でのAPI利用も可能になりました。

    また、オープンソースLLMのライセンスは、再配布・改変・商用利用の自由度に大きな影響を与えるため、導入時には法的・技術的な観点からの確認が不可欠です。特にBSDやMITライセンスは高い自由度を持ちますが、Apache 2.0は特許条項があり、またLLAMA 4/LLaMA 3やGemmaなどのカスタムライセンスは個別のライセンスの読み込みが必要になります。

    2025年4月の最新動向として、MetaのLLAMA 4の登場により、超長文コンテキスト処理(10Mトークン)とマルチモーダル機能が強化され、オープンソースLLMの選択肢がさらに広がりました。Together AIやSnowflakeなどのプラットフォーム経由での利用が可能になり、自己ホスティングだけでなくAPI経由でのアクセスも容易になっています。

    読者の皆さまがこの情報をもとに、自らのユースケースに最適なモデルを選び、AIの力を最大限に引き出すことができれば幸いです。

     

    ※)参考リンク

    本記事で紹介した主要AI言語モデルとライセンスについて、さらに詳しい情報は以下の公式サイトをご参照ください。

    ※ 本記事の情報は2025年3月時点のものです。各サービスの最新情報については、上記公式サイトをご確認ください。

     

    以上

    筆者プロフィール:
    ケニー狩野(中小企業診断士、PMP、ITコーディネータ)
    キヤノン(株)でアーキテクト、プロマネとして多数のプロジェクトをリード。
    現在、株式会社ベーネテック代表、株式会社アープ取締役、一般社団法人Society 5.0振興協会評議員ブロックチェーン導入評価委員長。
    これまでの知見を活かしブロックチェーンや人工知能技術の推進に従事。趣味はダイビングと囲碁。
    2018年「リアル・イノベーション・マインド」を出版。