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Woven City最新情報2026|静岡県民の入居募集・条件・費用を徹底解説

Woven City最新情報2026|静岡県民の入居募集・条件・費用を徹底解説
最終更新:
※本記事は、トヨタ/Woven by Toyota公式発表およびWoven City公式情報をもとに、2026年8月5日に始まった静岡県民向け一般居住者公募を含む最新情報へ更新しています。

この都市は「未来を予測する場所」ではなく、「未来を先に実装してしまう場所」である。

朝、部屋の温度が静かに変わる。AIが今日の予定を確認し、玄関を出ると無人モビリティが迎えに来る——そんなSFのような日常を、現実の生活環境で試す街が静岡県裾野市にある。

それが、トヨタのWoven Cityである。2025年9月25日の正式ローンチから約10か月。2026年8月5日には、静岡県民を対象とする一般居住者の公募が始まり、関係者中心の実証都市は外部の生活者を巻き込む次の段階へ入り始めた。

本記事では、まず「静岡県民は今、何をすればいいのか」に答える。その先に、この街が仕込んでいる本当の狙い——トヨタが街ひとつを使って何を検証しようとしているのか——を追っていく。

✅ 先に結論

Woven Cityは、未来の暮らしを実生活の中で検証する都市型テストコースです。2026年8月5日、静岡県民を対象とする一般居住者公募が始まりました。

  • 応募は2026年8月19日13時まで:今回の募集は約25世帯。応募代表者は満18歳以上で、2026年8月5日時点で静岡県内に住民票を持つことが主な条件です。
  • 家賃は間取りで異なる:1R/1K/1LKは月約5〜10万円、1LDKは約10〜11万円、2LDK/3LDKは広さに応じて約16〜22万円または約24〜28万円。別途、初回保証委託料(月額賃料の40%)と継続保証委託料(年13,000円)が必要です。
  • 入居は2027年3月以降を予定:2029年2月末までの2年間を基本とする定期建物賃貸借契約で、入居時には裾野市への住民票異動が必要です。
  • 「誰でも住める街」ではない:選考に加え、実証への参加、居住に必要なデータ提供、肖像利用への同意など、通常の賃貸住宅とは異なる条件があります。
この記事の著者・監修者 ケニー狩野(Kenny Kano)
Arpable 編集部(Arpable Tech Team)
株式会社アープに所属するテクノロジーリサーチチーム。人工知能の社会実装をミッションとし、最新の技術動向と実用的なノウハウを発信している。
役職(株)アープ取締役。Society 5.0振興協会・AI社会実装推進委員長。中小企業診断士、PMP。著書『リアル・イノベーション・マインド』▶ 詳細情報

2026年8月5日、静岡県民向け居住公募が始まった

静岡県民約25世帯を対象とする一般居住公募の開始は、Woven Cityが外部生活者を本格的に巻き込む転換点である。

もしあなたが静岡県内に住民票を持つ18歳以上なら、Woven Cityはもう「遠くから眺める未来都市」ではありません。入居を検討できる当事者になりました。2026年8月5日、Woven Cityは静岡県民を対象とする一般居住者の公募を開始しました。これまで関係者を中心に進めてきた居住実証が、いま一人ひとりの生活者へ開かれ始めています。

今回の公募は約25世帯で、応募締切は2026年8月19日13時です。応募代表者は満18歳以上で、2026年8月5日時点で静岡県内に住民票があることが主な条件です。裾野市や静岡県東部だけでなく、静岡市、浜松市を含む静岡県内の住民が対象になります。

表 2026年8月5日開始のWoven City居住公募の要点
項目 内容
応募期間 2026年8月5日13時〜8月19日13時
募集規模 約25世帯
主な応募条件 応募代表者が満18歳以上かつ、2026年8月5日時点で静岡県内に住民票を有すること
家賃の目安 1R/1K/1LKは約5万〜10万円、1LDKは約10万〜11万円、2LDK/3LDKは約16万〜22万円または約24万〜28万円/月
入居開始 2027年3月以降を予定
契約期間 2029年2月末までの2年間を基本とする定期建物賃貸借契約
住民票 入居時に裾野市へ異動
実証参加 Weaverとして各種プロダクト・サービスの実証やフィードバックに参加
データ・肖像 居住に必要なデータ提供や肖像利用への同意が求められる
※出典:Woven City公式の2026年度Residents募集情報をもとにArpable編集部作成(応募条件・契約条件は必ず最新の公式募集要項で確認)。

Woven Cityの入居金額・家賃はいくらか

では、いくらで住めるのでしょうか。未来都市だから特別に高いのか、それとも実証参加だから安いのか——検索者が最も知りたいのはここでしょう。結論から言えば、賃料は単身向けの月5万円台から、ファミリー向けでは月28万円程度まで幅があります。

表 Woven City一般居住者の家賃目安
世帯・間取り 広さの目安 月額賃料の目安
1人・1R/1K/1LK 約20〜35㎡ 約5万〜10万円
2人・1LDK 約40〜45㎡ 約10万〜11万円
3人以上・2LDK/3LDK 約75〜130㎡ 約16万〜22万円
3人以上・2LDK/3LDK 約140〜180㎡ 約24万〜28万円
※出典:Woven City公式「2026年度 Residents募集」。間取り・賃料の詳細は、2026年10月予定の「間取りのご提示会」で説明されます。

また、指定保証会社の利用に伴い、初回保証委託料として月額賃料の40%、継続保証委託料として年13,000円が必要です。家賃だけを見て判断するのではなく、契約時の費用を含めて確認する必要があります。

Woven Cityは通常の分譲住宅ではなく、期間を定めた賃貸契約のもとでWeaverとして実証へ参加する居住形態です。最終的な負担額は、公式募集要項と選考後の契約条件で必ず確認してください。

応募した後はどうなる?入居までの流れ

応募後すぐに契約するわけではありません。公式案内では、2026年9月の「説明会&体験会」→2026年10月予定の「間取りのご提示会」→契約手続き→2027年3月以降の引越しという流れが示されています。説明会と間取りのご提示会には、原則として各世帯の入居希望者全員の参加が求められます。

応募後の主な流れ

  • 2026年9月:説明会&体験会
  • 2026年10月予定:間取りのご提示会・保証会社の審査
  • その後:定期建物賃貸借契約などの手続き
  • 2027年3月以降:順次引越し

静岡市民も応募できるのか

はい。応募代表者が満18歳以上で、2026年8月5日時点で静岡県内に住民票を持つという主な条件を満たせば、静岡市の住民も応募対象に含まれます。

ただし、「静岡県民であれば自動的に入居できる」という意味ではありません。募集枠は約25世帯で、応募資格の確認と選考があります。また、入居後はWoven Cityがある裾野市へ生活拠点を移し、住民票も異動することになります。

応募を検討する静岡県民が最初に確認する5項目

  • 応募期限:2026年8月19日13時までに応募できるか
  • 応募資格:満18歳以上、静岡県内の住民票など募集要項の条件を満たすか
  • 生活拠点:2027年3月以降、裾野市へ生活拠点を移せるか
  • 実証参加:Weaverとしてフィードバックや各種実証に参加できるか
  • データ利用:必要なデータ提供や肖像利用などの条件を理解・同意できるか

Woven Cityへの入居は、未来住宅へ引っ越すだけの話ではありません。「未来の当たり前」をつくる実証に、生活者として2年間参加するという選択です。ここを理解したうえで応募することが、通常の住宅探しとの最大の違いです。

何が変わったのか

Woven Cityは、構想から実運用へ進み、2026年8月には静岡県民を巻き込む居住実証の次段階へ移った。

Woven Cityとは何か

トヨタ Woven Cityの完成イメージ

Woven City(ウーブンシティ)は、トヨタ自動車とWoven by Toyotaが静岡県裾野市で進める都市型の実証都市です。2025年9月25日にPhase 1が正式ローンチし、人が暮らす環境そのものを使ってAI、ロボット、自動運転、物流、エネルギーなどを検証しています。

トヨタはWoven Cityを「モビリティのテストコース」と位置づけています。つまり、完成された未来都市を見せる場所ではなく、人・モノ・情報・エネルギーの移動を実生活の中で試し、改善し続ける場所です。

これまでの歩みと2026年時点の状況

Woven Cityを巡る議論は、今や「壮大な構想」から「動く現実」へとフェーズを変えました。2025年9月25日の正式ローンチを経て、2026年の現在、この街は住民であるWeaversの日常と、企業・研究者であるInventorsの実証が交錯する、生きた共創の舞台として本格始動しています。

ここで重要なのは、Woven Cityを「完成した街」として見るのではなく、実生活の中で技術を試し、学び、改善し続ける都市型プロジェクトとして見ることです。

表 Woven City実現までの歩みと2026年時点の状況
時期 主な出来事 意味
2020年1月 CESでWoven City構想を発表 トヨタがモビリティカンパニー化を象徴する都市構想を提示
2021年2月 Phase 1の地鎮祭・建設準備開始 構想が実際の都市建設へ移行
2024年10月 Phase 1建物群が完成 居住・実証のための基盤が整備
2025年9月25日 Phase 1正式ローンチ 住民の入居と企業の共創が開始
2026年4月22日 AI Vision EngineなどのAI技術、Inventor Garage、新規4組織参画を発表 Phase 1に約100人が居住し、Inventorsは24組へ。開発・安全検証・生活実証の循環基盤が強化
2026年8月5日 静岡県民向け一般居住者約25世帯の公募開始 外部の生活者を巻き込む居住実証へ拡大
※出典:トヨタ/Woven by Toyota公式発表をもとにArpable編集部作成。

2026年版として最も大事なのは、Woven Cityを「もうすぐ始まる未来都市」としてではなく、実証・居住・共創を回しながら、参加者の範囲を段階的に広げる都市型イノベーション基盤として捉えることです。

Arpable編集部では、関係者中心の段階から2026年8月5日の静岡県民公募へ進んだ変化を、ソフトウェア開発になぞらえれば「Private BetaからPublic Betaへ進み始めた転換」と整理しています。※「Private Beta」「Public Beta」はArpable編集部による分析上の比喩であり、Toyota/Woven by Toyotaの公式フェーズ名称ではありません。

誰が住めるのか

Weaversは、Woven Cityで暮らしたり訪れたりしながら、製品・サービスを体験し、フィードバックを返す生活者です。2026年4月22日時点ではPhase 1に約100人が暮らしており、8月5日には静岡県民向けの一般居住公募も始まりました。

Inventorsは、Woven Cityで技術やサービスを開発・検証する企業、スタートアップ、研究機関などです。2026年4月にはAI Robot Association(AIRoA)、第一興商、Joby Aviation、Toyota Financial Servicesが加わり、計24組となりました。

Woven Cityの特徴は、Weaversを単なる顧客ではなく、Inventorsとともに未来のサービスを磨く共創者として位置づけていることです。一般訪問者についても、2026年度以降に「One Day Weavers」として受け入れる予定です。

誰が住み、誰が創り、誰が実証に参加するのか——ここまでは「街を動かす人」の話でした。しかし、それだけでは「なぜトヨタが街までつくるのか」は説明できません。ここからは、Woven Cityの奥にある産業戦略へ踏み込みます。

なぜ今重要なのか

重要なのは未来都市の珍しさではない。トヨタの産業戦略が街という形で動き始めた点である。

トヨタ Woven Cityの都市イメージ

もしトヨタが「車を作る会社」のままだったら、この街は生まれなかったはずです。Woven Cityの特徴は、未来を予測して語るのではなく、まだ完成していない技術やサービスを生活環境へ先に置き、試すことにあります。その「先に実装する」という賭けの大きさを理解して初めて、自動車会社からモビリティカンパニーへ進もうとする産業転換が見えてきます。

自動車産業は、ハードウェア中心の産業から、ソフトウェア、AI、データ、サービス、エネルギー、都市インフラまで含む産業へ変わりつつあります。

その変化の中で、トヨタは単に車を作るだけではなく、人の移動、モノの移動、情報の移動、エネルギーの移動を総合的に設計する会社へ進もうとしています。

Woven Cityは、その変化を街全体で検証する場所です。

事業への影響

Woven Cityは、自動運転車やロボットを展示するためのショールームではありません。モビリティ、住宅、物流、エネルギー、データ基盤を同じ生活環境で試すことで、将来の事業化に耐え得る仮説を見つける場です。

この意味で、Woven Cityはトヨタの新規事業開発基盤でもあります。何が本当に使われ、何が生活に溶け込まないのかを、実環境で見極めることができます。

開発への影響

Woven Cityでは、技術を個別に試すのではなく、生活者の行動単位で統合的に検証します。自動運転、AI、ロボット、地下物流、スマートホームは、それぞれ単独で成立するだけでは不十分です。

住民が朝起きて、移動し、働き、食事をし、荷物を受け取り、眠るまでの生活の流れの中で、技術が自然に機能する必要があります。

運用への影響

これは従来の都市開発とは発想が異なります。完成された街を作って終わりではなく、街を使いながら学び、改良し、社会へ展開するための仕組みです。

その意味で、Woven Cityは「完成形の都市」ではなく、未完成であり続けることに価値がある都市だと言えます。

どう捉えるべきか

Woven Cityはスマートシティではなく、モビリティ・生活・物流・エネルギーを実証する都市型プロダクトである。

ここまでは、なぜトヨタが街までつくるのかを見てきました。ここからは、Woven Cityへの入居を考える生活者にも、事業戦略として街を見る企業にも共通する問い——「この街では、実際に何が試されているのか」に答えていきます。

Woven Cityの特徴

Woven Cityは、クリーンエネルギーと最新テクノロジーによって、便利で快適な未来の暮らしを実現しようとする街です。ただし、単に新技術を並べるのではなく、生活者の体験を中心に設計されています。

ここでは、AIや自動運転、地下物流などの個別技術が単に点在しているわけではありません。起床から就寝に至る生活動線そのものに、各種テクノロジーを自然に組み込めるかが試されています。
※)参考:CES 2025 プレスカンファレンス 豊田章男プレゼンテーション

Woven Cityでは、地上の道路を用途別に分ける設計が採用されています。

  • 歩行者専用の道
  • 歩行者とパーソナルモビリティが共存する道
  • 車両専用の道

さらに、地下には物流や実証のための道路ネットワークが設けられています。地上の安全性を高めながら、地下で物流やロボット移動を検証できる点が特徴です。

Woven Cityでは、水素エネルギーや再生可能エネルギーの活用が想定されています。ENEOSとの連携、水素ステーション、再生可能エネルギー、環境配慮型の建材などが、持続可能な都市運営の基盤になります。

Woven Cityが試しているのは、省エネ機器そのものだけではありません。発電・供給・利用を含むエネルギーの流れを、街という単位でどう最適化するかという実証です。

 

 

2026年には、Woven City AI Vision Engine、Integrated ANZEN System、Woven City Infra Hub、Woven City Data Fabricなども発表され、都市そのものをAIとデータで支える方向性がより明確になりました。

地下物流システムの全貌

Woven Cityでは、建物を地下でつなぎ、物流を地上の人流から分離する構想が採用されています。地下で荷物を受け取り、自動配送ロボットが建物内へ運ぶことで、地上の安全性と快適性を高めます。

比喩的に言えば、地下物流ネットワークは街の血管、AIとデータ基盤は神経系です。モノの流れを人の移動から切り分け、街全体の状態を見ながら調整していく。そこにWoven Cityらしさがあります。

  • 全建物の地下接続:
    Woven City地下物流システムのイメージ
    都市内の建物を地下で連結し、物流専用ルートを確保します。
  • 地下の物流空間:荷物の仕分け、配送、ロボット実証などを地上の生活空間と分けて行います。

※)出典:地下も物流の実証の場所

 

Woven Cityの居住エリアの廊下 出典:トヨタイムズ公式YouTube動画

地下の物流センターで受け取った荷物を、自動運転ロボットが各家庭や施設へ運ぶ構想も進められています。建物内の廊下も、人とロボットが同じ空間を移動する前提で設計されています。

※)参考:トヨタWoven City、自動運転ロボが「全建物直結の地下」から直行配送

さらに、現実の物流や都市運営を仮想空間に再現するデジタルツインを使い、荷物やロボット、施設運用、エネルギーの流れを事前に検証します。都市を一度つくって終わりにせず、データを見ながら改善し続けるための仕組みです。

※)出典:開発を加速するデジタルツインとは?

テクノロジーと生活の融合

Woven Cityの特徴は、技術を展示するのではなく、実際の生活の中で使い、住民の反応を得ながら改善する点です。

2026年には、Woven City AI Vision EngineやIntegrated ANZEN Systemなどが発表されました。カメラやモビリティなどのデータを使い、街の状況理解、安全支援、Inventorsの実証を支えるAI基盤です。Woven CityにおけるAIは、単体アプリではなく、都市の判断力を支える基盤として位置づけられます。

  • Woven Cityの自動運転イメージ e-Palette:日常の移動、物流、店舗、医療、災害対応などへの活用を想定
  • MaaS:e-Palette、歩行者、パーソナルモビリティなどをつなぎ、移動全体をサービスとして最適化
Woven Cityのロボット技術イメージ

e-Paletteが「街の移動」を支えるなら、暮らしの内側で存在感を増すのがロボットです。生活支援、物流、施設運用、高齢者支援など、人とロボットが同じ生活空間で働く未来が試されています。2026年4月には、AI Robot Association(AIRoA)もInventorとして加わりました。

  • 家事・生活支援:掃除、調理、介護など
  • 施設運用:清掃、点検、メンテナンス
  • 高齢者・障がい者支援:歩行支援、見守りなど
  • 物流:地下物流と建物内配送の連携

住まい側では、照明・空調などの最適化や健康データを活用した生活支援など、スマートホームの実証も想定されています。ここで重要なのは、個別機能の多さではなく、生活の流れの中で各技術を自然につなげられるかです。

Woven Cityの未来生活イメージ

冒頭で描いた朝の情景を思い出してください。部屋の環境、AI、モビリティ——それぞれの技術を一つの生活の流れとしてつなげられるか。それを展示ではなく実生活の中で泥臭く試し続けることこそ、Woven Cityという未完成の実験場が持つ真の価値です。

他のスマートシティとの違い

「スマートシティ」と聞いて、どんな街を思い浮かべますか。センサーが交通を捉え、データが渋滞やエネルギー利用を最適化する——もしそんな「都市管理を高度化する街」を想像したなら、それだけではWoven Cityの半分しか見えていません。

しかし、Woven Cityを他のスマートシティと同列に置くだけでは、その特徴は見えにくくなります。違いは、都市の「管理」よりも、都市を使った「実証」と「共創」を前面に出している点です。

表 Woven Cityと他のスマートシティ構想の違い
比較軸 一般的なスマートシティ Woven City
主目的 都市運営の効率化、交通・防災・エネルギー管理 モビリティ、AI、ロボット、物流、生活サービスの実証
住民の役割 サービス利用者、都市管理の対象 Weaversとして製品・サービス改善に参加する共創者
企業の役割 インフラ提供者、サービス提供者 Inventorsとして生活環境の中で仮説を検証する主体
設計思想 既存都市の高度化、都市OS化 街そのものをモビリティのテストコースとして設計
※出典:各スマートシティ構想の公開情報をもとに、設計思想の違いをArpable編集部が整理。

他のスマートシティが既存都市の効率化や高度化を重視するのに対し、Woven Cityの特徴は、まだ完成していない技術やサービスを先に生活環境へ置き、人とともに試すことにあります。都市を「運営するための技術」だけでなく、「新しい事業を生み出す実証環境」として設計している点が大きな違いです。

Woven Cityはどの市場を変えるのか

Woven Cityを事業戦略の視点で見るなら、「きれいな未来都市」ではなく、複数の成長市場を横断する実証基盤として捉える必要があります。

ここで検証される技術やサービスは、Woven Cityの中だけで完結するものではありません。成功した仮説は、他都市、工場、物流拠点、商業施設、住宅地、さらには海外市場へ展開される可能性があります。

表 Woven Cityが影響を与え得る主な市場領域
市場領域 Woven Cityでの実証テーマ ビジネス上の意味
モビリティOS e-Palette、自動運転、歩行者・車両・パーソナルモビリティの統合 車両販売から、移動体験・都市運営サービスへの拡張
都市データ基盤 Woven City Data Fabric、Infra Hub、AI Vision Engine 都市運営、施設管理、防災、生活サービスのデータ駆動化
物流インフラ 地下物流、自動配送ロボット、建物内配送 ラストマイル物流、スマートビル、工場内物流への応用可能性
エネルギーマネジメント 水素、再生可能エネルギー、住宅・モビリティとの連携 脱炭素都市、分散型エネルギー、EV連携の実証基盤
※出典:Woven City公式情報および公開発表をもとに、Arpable編集部が市場インパクトの観点で整理。

見せるための都市であれば、模型や映像で十分だったはずです。Woven Cityがわざわざ人を住まわせているのは、次世代事業の勝ち筋を実生活の中で検証するためにほかなりません。

この視点で見ると、Woven Cityは単なる都市開発ではありません。モビリティ、AI、物流、エネルギー、住宅、データ基盤を横断する「事業仮説の実証炉」です。

データガバナンスの実験場

都市でAIを使う場合、避けて通れないのがプライバシーとデータガバナンスです。Woven City Data Fabricのような仕組みは、個人データを尊重しながら都市運営に活用するための基盤として注目されます。

スマートシティが社会に受け入れられるかどうかは、技術力だけで決まりません。誰のデータを、何の目的で、どの条件で使うのかを明確にできるかが問われます。

実務ではどう判断するか

企業が学ぶべきことは、単発PoCではなく、実環境で検証し続ける仕組みである。

会議室でPoCを重ね、稟議も通った。それなのに、本番導入すると現場では使われない——AIや新技術の導入で起こり得る典型的な落とし穴です。Woven Cityが示しているのは、その逆の発想です。完成品を一度で作るのではなく、実際の利用者と環境の中で試し、観察し、改善し続ける。問うべきは、このモデルを「自社でどう縮小再現するか」です。

判断基準

判断軸はこの3つです。実環境で試せているか、Weavers(利用者)とInventors(開発者)のフィードバックが循環しているか、そしてAIやデータで改善プロセスを設計できているか——この3点で自社の取り組みを点検してください。

表 Woven Cityから企業が学ぶべき3つの視点
視点 Woven Cityの例 一般企業への示唆
実環境で試す 住民が暮らす街で製品・サービスを検証 会議室PoCではなく、現場で小さく試す
共創する InventorsとWeaversがフィードバックを循環 開発者・利用者・現場部門を最初から巻き込む
データで改善する AI、Infra Hub、Data Fabricで都市運営を支援 AI導入後の評価・観測・改善プロセスを設計する
※出典:Woven Cityの公式コンセプトをもとに、企業実務への示唆をArpable編集部が整理。

よくある失敗

AI導入において失敗しやすいのは、技術選定だけで満足してしまうことです。Woven Cityが示しているのは、技術そのものよりも、技術を使い続け、観察し、改善するための環境設計の重要性です。

この視点は、企業のAI導入にもそのまま当てはまります。生成AI、AIエージェント、ロボット、デジタルツインを導入するなら、まず問うべきは「どのツールを使うか」だけではありません。

その技術を、誰が、どの現場で、どんな失敗を許容しながら試すのか。ここを設計できる企業ほど、AI時代の学習速度で優位に立ちます。

一次情報からどこまで言えるか

公式情報から言える事実と、今後の見立ては分けて読むべきである。

一次情報

2026年8月8日時点で、一次情報から比較的確実に言えることは次の通りです。

  • Woven City Phase 1は2025年9月25日に正式ローンチ済み
  • 2026年4月22日時点でPhase 1に約100人のWeaversが居住
  • Phase 1では最終的に約300人の居住を予定
  • 2026年4月22日にAI Vision Engine、Integrated ANZEN System、Infra Hub、Data Fabricなどを公開
  • Inventor Garageが稼働し、Inventor Garage→Inventor Field→Phase 1の開発・安全検証・生活実証を循環する仕組みが整備
  • 新たに4組織が加わり、Inventorsは計24組
  • 2026年8月5日に静岡県民向け一般居住者約25世帯の公募を開始
  • 応募代表者は満18歳以上かつ、2026年8月5日時点で静岡県内に住民票を有することが主な条件
  • 応募締切は2026年8月19日13時
  • 家賃は1R/1K/1LKで約5〜10万円、1LDKで約10〜11万円、2LDK/3LDKで約16〜22万円または約24〜28万円
  • 一般居住者の入居は2027年3月以降を予定
  • 一般訪問者のOne Day Weavers受け入れは2026年度以降を予定

解釈

一方で、以下は断定を避けるべきです。

  • 静岡県外を含む全国から一般居住者を募集する時期
  • 第2期以降の一般居住者募集条件と世帯数
  • One Day Weaversの具体的な一般受け入れ開始日
  • Phase 2以降の最終的な完成時期・居住規模
  • 都市全体の収益性や事業採算
  • すべての技術が商用化されるかどうか

したがって、本記事ではWoven Cityを過度に礼賛するのではなく、公式発表で確認できる範囲と、今後見極めるべき論点を分けて読むことを重視しています。

まとめ

読者が持ち帰るべきなのは未来都市の知識ではない。自社で何をどう試すかという問いである。

Woven Cityの未来都市イメージ

2026年8月5日の一般居住公募によって、Woven Cityは「未来を見せる街」から、より多くの生活者がその実証に参加する街へと一歩進みました。

静岡県民が応募フォームに向かうその瞬間、Woven Cityはもはや「見る対象」ではなく「参加する対象」に変わりました。この変化が持つ意味は、次の4点に集約されます。

  • 実生活をテストコースにする:研究室ではなく、人が暮らす環境で技術を検証する
  • 開発→安全検証→生活実証を循環する:Inventor Garage、Inventor Field、Phase 1をつなぐ
  • Weaversを開発プロセスへ組み込む:利用者を単なる顧客ではなく共創者にする
  • 閉じた実証から外部生活者へ広げる:2026年8月5日の静岡県民向け一般居住公募が新たな転換点

ただし、Woven Cityは完成された理想都市ではありません。むしろ、失敗と改善を前提にした実証都市です。技術を置き、人が使い、データが語る——その循環が続く限り、この街は「未完成」であり続けます。だからこそ、企業にとって重要なのは「どんな未来技術があるか」だけではありません。

本当に見るべきなのは、技術を実生活に置き、利用者の反応を受け取り、データで改善し続ける仕組みです。

もしあなたの会社が、Woven Cityのように「失敗前提で試し続けられる環境」を持っていたら——次にどんな技術を、誰と、どこで試すでしょうか。

Woven Cityは「未来を語る場所」ではありません。未来が、すでに試されている場所です。

専門用語まとめ

Woven City
トヨタとWoven by Toyotaが静岡県裾野市で進める都市型のモビリティ実証基盤。
Weavers
Woven Cityの住民や訪問者。製品・サービスを体験し、フィードバックを返す共創者。
Inventors
Woven Cityで技術やサービスを開発・検証する企業、研究機関、起業家、スタートアップなど。
Kakezan
異なる強みを掛け合わせ、単独では生まれない価値を生み出すWoven by Toyotaの共創コンセプト。
デジタルツイン
現実世界の状態をデジタル空間に再現し、シミュレーションや改善に活用する技術。
Physical AI
ロボット、自動運転、スマート機器など、現実世界で動作するAIの総称。

参考文献 / 出典

補足Q&A

Q1.
Woven Cityはもう完成していますか?

A1.
Phase 1は2025年9月25日に正式ローンチ済みです。

ただし、Woven City全体が完成したという意味ではありません。Phase 1を起点に、今後も実証・拡張・改善が続くプロジェクトです。

Q2.
Woven Cityには一般人も住めますか?

A2.
はい。2026年8月5日から、静岡県民を対象に約25世帯の一般居住公募が始まりました。

応募代表者は満18歳以上で、8月5日時点で静岡県内に住民票があることが主な条件です。応募締切は8月19日13時。誰でも自由に入居できるわけではなく、選考や実証参加、データ提供などの条件があります。

Q3.
静岡市に住んでいてもWoven Cityへ応募できますか?

A3.
はい。満18歳以上で、応募代表者が2026年8月5日時点で静岡県内に住民票を持つという主な条件を満たせば、静岡市の住民も対象に含まれます。

ただし、その他の応募条件や選考があり、入居時には裾野市へ住民票を異動する必要があります。

Q4.
Woven Cityの家賃・入居金額はいくらですか?

A4.
家賃の目安は、1R/1K/1LKで月約5万〜10万円、1LDKで約10万〜11万円、2LDK/3LDKで約16万〜22万円または約24万〜28万円です。

指定保証会社の利用に伴い、初回保証委託料として月額賃料の40%、継続保証委託料として年13,000円が必要です。間取りや契約条件で負担額は変わるため、最新の公式募集要項で確認してください。

更新履歴

  • 2025年3月5日:初稿公開
  • 2026年7月7日:2025年9月25日の正式ローンチ、2026年のAI技術発表、Inventor拡大、一般訪問予定、市場インパクト分析を反映し、Arpable記事テンプレート v11.3準拠で全面更新
  • 2026年8月8日:静岡県民向け一般居住者約25世帯の公募、8月19日13時の応募締切、18歳以上の条件、家賃4区分、保証委託料、応募後の流れを反映。重複説明を整理し、Phase 1・技術・事業戦略の流れを再構成
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ケニー 狩野
ケニー狩野(Kenny Kano)は、AI社会実装・技術経営・ITコンサルティングを専門とする経営者・監修者。株式会社ベーネテック代表、株式会社アープ取締役、一般社団法人Society 5.0振興協会 AI社会実装推進委員長。早稲田大学大学院理工学研究科修了後、キヤノンで国内外の開発や中国・インド・オーストラリアを含むオフショア案件を牽引。独立後はAI社会実装支援に従事し、Arpableで人工知能・先端技術分野の記事を約2年間で約300本監修。中小企業診断士、PMP、ITコーディネータ。著書『リアル・イノベーション・マインド』。実務と経営を橋渡しする。